aikokuken-ryuji 日々の草稿

日々aikoku=愛国.音楽大好きな犬=ken@10年20年もっと後の日本に世界に平穏あれ。

『共産主義による罪』と『お花畑=無知 による罪』の紙一重を問う超短編小説②📖

こんばんは。aikokuken-ryujiです。 

 8月に入りましたね。今月も不定期ですがちょこちょこブログ更新していきますので、ご愛顧の程よろしくお願い申し上げます🙇🙇


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さて今回は『共産主義による罪』と『お花畑=無知  による罪』をテーマに、拙作ながらまたまた超短編的小説を書かせていただく事と相成りました。😅

前作の『梅雨時』も、かなりの中途半端な出来となってしまいましたが、今回もそうなりうるやもしれません。😣

何卒、お許しいただきますようお願い申し上げます。m(_ _)m

 

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『邂逅』

 

(一)

 

妻の秀子が手慣れた様子でいつものように床を敷いていると、不意に低い唸り声のような静かなる轟音が窓の外に響いた。

秀子は立ち上がって窓を開けると、どうした事であろう、、今宵は日中の天候より予期せぬ雨天からの水飛沫がみてとれた。

「貴方、雨ですわよ。お昼間のお天気からは想像もできゃしなかったわネ...」

長らく机上とにらめっこを続けていた本木公二は、妻の嬉声とも落胆ともとれぬ声色に振り向き、

「あぁ、そうかい。昼間はあんなにお日様カンカンだったのになぁ」

と低く呟いて妻のもとへ歩み寄った。

窓外をのぞき見る。  なるほど、よく降っている。

「貴方、雨なんて久しぶりだわね!  明日の天気大丈夫かしら!?」

「なんだい??  明日の天気ってのは」

「あら、もうお忘れなの?  明日、近所のご婦人方と芝居観に行こうってお約束してたのに......」

本木氏は、渋い顔をして斜めから妻を見た。

「そりゃ君......天に聞かなけりゃァ、わかりゃしないぜ」

「(ふふと口をすぼませ)あら、そうね。貴方の好きな天照大神に明日の事ようっくお願いしておかなくちゃ」

妻は絶えず上機嫌で、楽天的な様子を夫に見せたあと、そそくさとその場を立ち退いた。

「おい、寝ないのか?」

夫の呼び掛けにめんどくさそうに「御不浄よ!」と声だけ与えて厠の戸を強く閉めた。

本木氏は、しばらく窓外を見つめていた。

「ここんとこ、降らなかったが、ここに来てようやく天の恵みかぁ...。なんだか、俺もいい物が書けそうな気がするな。うん、きっとこの愛する日本の為に、ひとつでも良い話が書けそうな気がする!  そうなればだ......今書いてる探偵物は途中で切り上げた方が良さそうな気配だな。うん......雨もこんだけ降ってる事だし」

妻はいつの間にか小水を済ませ、独り言をぶつぶつ言ってる夫の傍らに座り込んでいた。

「貴方......何、ぶつくさ言ってるんです?  もう寝ないと」

と、夫の腕に絡み付く妻を一瞬ではね除け、本木氏は立ち上がり帯をほどき始めた。

その様子を見て、「あら、お出掛け?こんな時間に......」

「うん。ちょっと雨降りの町を歩いてみたくなったものでね。あ、君は先に寝ていていいよ。気にしないで」

秀子は、少しふて腐ったような表情で俯き加減になったが、夫のこの突然の「外出癖」には夫婦(めおと)になった時分から承知していたもので、直ぐ様諦め、外出用の着物を箪笥から出して夫に手渡した。

「傘、お要りでしょう?」

「......あぁ。この降りじゃ、要るね。もう少し小降りなら被るもの無しで出掛けたい心境だったのだがね」

今夜の本木氏は、何故かうきうきしていた。

妻にもそのように見えた。

自分でもよくわからないが、何故か雨降りの景色を見た途端、その渦中に飛び込んでみたくなって嬉々としている自分の意気の高揚したる心中がよく解せずにいるのだが、本木氏はとにかく出掛けたくてしょうがなかった。

玄関先で火打ち石を チンチン と鳴らし、秀子は酔ってもいない目を泳がせ、今にも弾け飛ばんとする夫を見送った。

 

(二)

 

本木氏は、傘を手にまるで子供のように、はしゃぎながら雨の降りしきる町を歩いた。

ともすれば「Sing'in in the rain♪」と口笛とともに口ずさんでしまうような陽気さであった。

外出用の着物の裾も、すでに水気にやられびしょびしょになっている。

しかし、そんな事も構わず本木氏は、雨の中を楽しそうに跳び跳ねている。

ふと、いつもの商店街に差し掛かると、雨中の中に朧気な飲み屋のネオンや、街灯などが余計にファンタスティックに見えて、なんでもない事にも感動してしまい、余計に欣喜雀躍せんところの本木氏は、周囲から見れば気違いに見えたか、ジーン・ケリーに見えたか......。

恐らく、多数派は前者だと思う。

そして、何を思ったか駅に向かった本木氏は、新宿までの切符を買い、山手線に揺られた。

電車の中では、こんな午前様のような時間になっても乗客の多いことに、本木氏は半ば驚愕していたが直ぐに窓の外を見遣ると、そんな雑念も消えた。

 

やがて、新宿に着くと、乗客の半数以上が洪水の如くホームに溢れ出た。

ほとんどが頑迷固陋な会社員がほとんどであったように本木氏の目には映じた。

自分は物書きで、決して雇われ者ではない故に自由人であるという誇りを持つと同時に、毎回まとまった収入の獲れる身分ではないという思いが頭をもたげ、煩悶を呼ぶ。

彼の「外出癖」には、いつもついて回る煩悶である。

自分のような物書きは、所詮"やくざ"な稼業なのか......。

そして、まるでロボットのように雇い主の支配下のもとで何もかも従順になり、汗水垂らして働く薄給の傀儡どもの稼ぎや生活こそが安定しているのだろうか......。

そんな思いを抱いているにも拘わらず、本木氏は物書き生活から抜け出せずにいた。

いや、当人がこの商売に決定的な疑念を抱かぬうちは、やめないだろう。

そして、本木氏は日本の現状を憂いているからこその執筆活動に明け暮れているのだから。

 

(三)

 

本木氏は、未だ降り続ける雨と同化したように傘をぷるぷる回し、歩き続けた。

が、今書いてる探偵物よりも良い作品にとっかかる思案を見出せないままでいた。

今書いてる探偵物......  というのは、戦後の荒れ果てた東京が舞台で、文無しの探偵が貧民街で起こった猟奇殺人に挑むというもの。

かつて戦後の町を闊歩した朝鮮進駐軍の悪行を重ね合わせて書こうとしていたものだが、一人前に犯人の使ったトリックやら殺人の手法やらに行き詰まりを感じて、それから先が書けないままになっていた。

ただ、朝鮮進駐軍による悪行をそのまま書こうと思えば、本木氏にとっては容易い事なのだが、いかんせん探偵物といえば、謎解きが絡んでくる。

そのもつれた細い糸を、探偵がいかにして紐解こうとするかを読者は期待しているのだ。

残念ながら、本木氏にはそのようなもつれにもつれた糸を如何にしてほどこうかという解釈が書くことができない作家であった。

はなから探偵物など無理だったのだ。

本木氏は只、衷心なるは朝鮮進駐軍の悪行や支那共産党による日本に及ぼした影響をのみ書けるというもの。

これをエンタテイメントなる探偵物に置き換えたなら、本木氏の絶筆となるは無理からぬ事であった。

彼は純粋すぎるのだ。それ故、世間受けする作品を未だかって書けたためしがない。

だが、そういうものが書けないのなら当然の如く飯は食ってはいけないし、妻の秀子にも多大な労苦をかけることになる。

彼は太宰治志賀直哉などをことのほか羨ましく思った。

奴らに書けて、何故俺には書けぬのか......。

ふと、さっきまで雨の中、喜び勇んでいた本木氏の目に涙が浮かんだ。 

自分が書けないからではない。自分が書けないことによって、妻の秀子が容易ならぬ苦労をしょいこんでしまう事を悲嘆しての涙である。

そんな本木氏のうなだれた肩を、軽く叩く者がいた。

本木氏は矢庭に傘をたたんで、肩を叩いた主をみとめた。

「間違ってたらすみませんが、あなた、本木公二さんではないですか?」

「(立ち上がり)えっ?  ええ、僕は本木ですが、あの......あなたは......?」

「いや!  やっぱりそうでしたか。僕ですよ。同じクラスメイトの有島です。有島芳男ですよ」

有島  と名乗るこの小男は、満面の笑みを浮かべて本木氏の両肩をがちっと掴んだ。

本木氏は、最初この男が何者かわからなかったが、ふと幼少期に思いを馳せると、なるほど、その男がガキ大将にいつもいじめられていた有島芳男であったとすぐに思い出す事ができた。

「お......おぅ!  お前か。久方振りだな。どうしてた?」

「久方振りは変だな。なんだか武士みたいな物言いじゃないか。僕は元気だよ。今、ある議員の秘書をしてるんだけども、君はどうしてた?」

本木氏は一瞬顔面を強張らせた。

言うべきか......?  言わざるべきか......?

果てして彼はこう言った。

「あ、あぁ。相変わらず書いてるよ。しがない物書きさ。今じゃ雑誌をみっつ掛け持ちしてるよ」

真実と嘘をうまい具合にミックスさせ、有島芳男にそれとなく現状の自己紹介をしてみせた。

「そうかい!  いや、おめでとう。君も今じゃ立派な小説家ンなってたんだな。友人として僕も嬉しいよ!」

有島は、まるで本気で喜んでくれているようにも見えた。

本木氏はそれを見て、心底嬉しくもなりしたが、同時に恥ずかしい気持ちも胸をかすめた。

 

(四) 

 

二人は駅近くの居酒屋に入った。

有島は麦酒(ビール)を、本木氏は焼酎を頼んで落ち着いた。

「君は焼酎派だったかい?  知らなかったよ。麦酒は飲まないのかい?」

「いや、麦酒はどうも体に合わないらしくてね。もとい、僕は大学生の頃より焼酎を嗜んでたものだからね」

「そうだったよなぁ。でも、君は作家としての志を決めていたというのに、何故大学では法学部だったんだい?」

「......六法に興味があってね。あと憲法のこととか。」

「そうかい」

話してるうちに麦酒と焼酎が運ばれてきた。

本木氏と有島は、各々を手に持ち、久しぶりの邂逅を祝って乾杯を交わした。

有島の方は、中ジョッキの麦酒をすごい勢いで飲み干し、だん  とテーブルに置いて一息ついた。

本木氏は、一気に飲みはしないものの、グラスの真ん中らへんまで飲み、有島の乾杯に応える形をとった。

「いや~、しかし、ここで君に会えるとは思ってもいなかったよ。何しろ、知り合いはほとんどが音信不通でね。僕も探してるところなんだけども......なかなか、見つかりゃしない。この広い東京では  ね」

「ほぅ。探してるって、なんで?」

「いや!  そりゃ君。僕の支持する政党にだね。議員にだね。ひとつでも多く票を入れてもらわにゃあ......と思ったもんでね」

「近く選挙でもあるのかい?」

「いや。無いんだがね......君、今や政権与党の腐敗ぶりを見るにつけて、ここらで総理を引きずりおろさんと一大発起に乗り出さなきゃ、君、日本の未来はどうなることか......と嘆いているのだよ」

中ジョッキの麦酒一杯で、もう酔いがまわったのか??

本木氏は、有島の顔をまじまじと観察した。

両頬赤く染まりしも、目はまだそんなに赤くはない。

虚ろでもない、泳いでもいない。

有島は、まだ管をまくほどに酔ってはいまい。

「日本の現状?  うん、それは僕も同じ気持ちだよ。このまま行くと、どうなることやらだね」

「(顔を上げ)本木さんは、今の与党を許さないですよね!?」

こいつ......酔ってるのか?  それとも見せかけか?

どちらにしても、有島は現政権にただならぬ不満と疑念を抱いている。

本木氏は、現政権の支持者であるのだが、100%支持しているか?と問われれば、詰問するに至るだろう。

何しろ、総理大臣がその席に腰を落ち着かせてから未だに8月15日の終戦の日(本木氏は、終戦記念日という呼び名を断じて嫌うところがある。)靖國神社に正式参拝をしたためしがないのだから、国を憂いる日本国民の一部にとっては苦言を呈す者も出るのは無理からぬ事なのだ。

しかし、本木氏はあくまで基本的には現政権支持者である。

「ねぇ、どうなんだ。君は現政権に一抹の不安や不満も見受けられないかね?」

「あっ?  あぁ...少しね」

そう言うと本木氏は、アテに頼んだ蒲鉾(かまぼこ)を苦々しく啄んだ。

「そうだろう。僕は今の総理大臣はじめ閣僚なんかが大嫌いでね。また、その尾ひれについてネットでギャアギャア喚いてる論客も好かないがね。まァ、金にはなるんだろうがね」

「論客って?」

本木氏は、敢えて聞いてみた。

「ホラ、よくYouTubeとかのネット番組でグダグダ言ってる評論家ですよ。日本の伝統文化だの天皇だの、果ては韓国人は日本から出ていけだの愚にもつかん戯言を言ってる奴らですよ」

本木氏には有島が名指しでは無いが指摘してる人物像には、いくらかの想定がついていた。

自身の職業である執筆は、今風にキーボードを叩くのではなく、原稿用紙をわざわざ買ってきて鉛筆などで書くいわゆる古風なスタイルを固持してはいるのだが、そういう世相や政局の情報源は、もっぱらネットを活用しているので彼には有島が口先で批判している論客が誰なのかはだいたい予想がついた。

「ところで......君の支持する党ってのは?」

有島は、二杯目の麦酒を  ぐっ  と飲み干し、机上にどんと置くと袖で口のまわりを拭いた。

そして本木氏の目をじっと見つめ、

「......知りたいかね?」と、半ば酔いの手伝うところの優越気味に呟いた。

本木氏は、素直に軽く頷いた。

「実は、半年ほど前から『赤旗新聞』を近所に配る仕事を仰せつかってね。いや何、朝早いったらありゃしない。ハハハハ」

赤旗新聞!?  もしや......。

本木氏は驚嘆した。もしやこの男の支持政党とは......。

「新聞を配るって......君は議員の秘書をやってるんじゃないのか?」

「あぁ、やってるよ。でも先生から言われたのさ。初心に戻ってまず新聞を配るところから頑張れって」

そうだ。有島は間違いなく共産党支持者だ。

本木氏が最も嫌う、アカの政党、日本共産党

彼はこの次、どう会話を切り出していいのやらわからなくなってしまった。

しかし、本木氏から話すのを思慮する必要はなかった。

何故なら、三杯目の麦酒をグラスの真ん中あたりまで飲み干していた有島の饒舌が、本木氏を自然と聴き手役へといざなったからだ。

 

(五)

 

時間は夜10時をまわったところだ。

この時刻から依然として酔客の方々での盛り上がりや談笑は、賑やかになるばかりである。

有島は、麦酒のもう三杯目を飲み干してしまうところだ。

対する本木氏は、一杯目の焼酎をようやく飲み干さんとするところである。

「いいかい?  今の防衛大臣なんてのはだね、着飾る事しか考えてない。国の為に祖国防衛とか言って、自衛隊を国軍にとか言ったりしてるけど、あんなのはナンセンスだよね。ましてや在日米軍をいつまでも沖縄に置いとくのなんか僕ァ、反対だ。何故だか教えてやろうか?  え?」

「ほぅ......何故だい?」

「そりゃお前ぇ、アメリカは明けても暮れても戦争ばかりしてやがる国よ。下手すりゃ今度はどっかと戦争おっ始めかねない。日米安保で日本政府がそれに加担してみろ。国民の生命が危険に晒されるんだぜ?  日本人は、戦争したくない民族なのに、無理やり戦争に駆り出されるんだぜ?  将来の希望もある若者たちが。これを悲劇と呼ばずになんて言う?  えぇ? そうだろ、本木しゃんよ」

本木しゃん  とは、、有島の奴、かなり呂律がしどろもどろになってきている。

しかし、有島はやはり共産党支持者だ。

戦争反対、個人的生命尊重の立場を主張する日本人は、そのほとんどが憲法9条の信奉者である事実は否めないものである。

先の大戦では、自分の将来など二の次に、国を守る最後の砦となって自ら死んでいった特攻隊の若者がいたというのに。

今では、憲法9条を盲信する日本人が多いために、神風特攻隊は歴史上軽視されているままなのだ。

本木氏の胸に、やりきれない焦燥感が沸き立った。

そして、意を決して有島に言った。

「しかし君、今沖縄から在日米軍を撤退させたら、沖縄はどうなるんだい?  すぐにでも中国が攻め寄せてくる可能性だって捨てきれないんじゃないのかな?

中国は、連日尖閣諸島を領海侵犯しているのだから、その本願は沖縄の領略なのだとすると......」

「(本木氏の言葉をさえぎり)いや、アンタの言う事は、万に一つの妄想に寄りかかった妄言だ。いや、暴論だ!  中国が沖縄を攻め落とす?  ハッハッハ、、君、寝言は寝てから言えよ。中国が沖縄に攻めてくるわけなんかないじゃないか。だいいちテレビでもそんな報道はされていない。確かに、尖閣周辺をうろつく中国船は日本政府にとって問題なのだろうが。でも、それがどうしたって言うんだ?

彼らは、我々に危害を加えたりなんかはしない。いや、もっと言えば海域を誤ってたまたま入ってきただけなのかもしれないじゃないか。それを海上保安庁が威嚇するなんて、日中関係が悪化しかねない。海上自衛隊護衛艦が出てくるなんてもってのほかだと思うがね」

「いや......でも、現実に彼らはチベットウイグルを武力でもって鎮圧し、そのあとでも弾圧をしてるじゃないか。えらく酷い仕打ちをね。それに抗議する為に彼らは焼身自殺をした。これがどんなに悲惨な事か、この流れが沖縄に及んでくる可能性は大いにあり得るとは思わないか!?」

「あり得んね。鶴の一声で君に諭しの言葉を与えよう。百歩譲って中国が日本に何か危害を加えるような事をしたとしよう。それは中国に対して、真摯な態度を示さなかった傲慢な政府に責任があると思うね。

まして南京大虐殺がまるで嘘のような事を喧伝し中国当局を刺激するような一般ピープルのバカがいるせいもあって、中国をそのような凶行に駆り立てたのだとしたら?

真に悪いのは日本人という事になるよ。必然的にね」

「それは君、筋が通ってないんじゃないか?  君はどれほど中国の事について知ってる?

彼らが我々日本人に対して、どれだけの憎悪と嫉妬と劣等感を感じているか、理解した事がないのか?  南京大虐殺も仮に本当にあったとしたら、当時の資料やらがとっくに出ている筈だろう。しかし今日に至るまで何一つ確証たるものが現出していない。だから南京大虐殺は中国政府が打ち立てたデマだと言わざるをえないのだよ」

「......本木さん、あなたがそれほどまでに無知で無教養な人間に成り下がってしまったのだとは気づきもしなかった......。少なくとも、さっき何十年かぶりに会った瞬間にはね!」

有島は、そう言い放つと強くテーブルを叩いた。

すぐ横のお客が  きゃっ  と小さな悲鳴をあげて身を引いた。

有島がそのお客に対して、すまなさそうに会釈してからは、普通に連れの男性と会話を続けていた。

何やら日本語ではない言語だ。  少し女性が酔ったためかフラついたら相手の男性は「大丈夫?」ととれる何かを呟いた。

女性もそれに応え、座り直した。

そして男性は、女性に「飲み過ぎだ」みたいな感じの言葉を発してから「アラッソヨ?」と女性を指差して言った。

アラッソヨ  とは韓国語で「わかったか?理解できたか?」の意味であるのは本木氏には判ずる事ができた。

本木氏と有島の隣に座している客は韓国人だった事が本木氏には漸くわかった。

本木氏は、随分気持ちが悪くなった。

今までの有島の話に付加し、隣席の韓国人に対しても大きな要因を占めていた。

えてして、本木氏は閉口した。

 

(六)

 

本木氏と有島が店を出たのは、11時半頃だった。

有島は、その後も在日韓国人に友達がいるだの、在日韓国人に日本から出ていけと言うのは差別だからそういう事を平気で言う日本人は恥知らずだのさんざっぱら管(本木氏にとっては)を巻き続けた。

しかし、話の最後で「日本はいつまでも在日米軍にお世話になっていてはいけない。日本が正規の軍隊を持って、在日米軍をとっとと日本から追い出すべきだ」と啖呵をきった。

有島との会話で、唯一同調できる点は、本木氏にとってはその一点だけだった。

自衛隊が国軍となる、、それは長い間アメリカの傘下に甘んじている日本にとっての自立心の第一歩になると信じて疑わないからだ。

有島にとっては、沖縄県民が在日米軍による婦女暴行やオスプレイの騒音、危険性を除去したい考えから成るひとつの結論付けだと思うが、本木氏は、日本が軍隊を持つ  という有島の主張だけは自分と意見が合致するので、そこだけは素直に認めた。

半ば、討論会のようになってしまったにも拘わらず、別れる時の有島の顔は妙にほころんでいた。

別れ際に「今日は君に会えて、いろいろ話ができて実に楽しかったよ。久しぶりに良い気持ちにさせてもらったよ。ありがとう」

と本木氏に握手まで求めてきたのに、本木氏も笑顔で応えるほか術なかった。

其の実、有島は単なるお花畑日本人であって、韓国や中国のように真から日本という国を憎んでいるわけではないのだ。

ただ、2670余年続く日本国家についての認識が若干足りないだけなのだと。

本木氏も、日本の歴史的真実を頭から爪先まですべて知っているわけではないが、今日本が危機に瀕している  という事実からは目を逸らせないでいる。

そういう意味では、本木氏も純粋だが、有島も果たして純粋なのだろうか......?

 

宵も深まり、電柱に寄りかかって空を見上げた。

いつの間にか沛然の雨は、なりを潜めて上空には厚い真っ白な雲が漂うばかりである。

いつまた降り出すかしれない空模様に、本木氏は酔歩蹣跚(すいほまんさん)たる足取りで、駅の方へと歩き出した。

そして、電車の中で、今書いている探偵物をきっぱりと打ち切り、違うものを気持ちを新たに書いてみたいとの想いが、一層強くなった。

高田馬場駅を過ぎたところで、窓にぽつりぽつり、雨雫が吹き出物のように本木氏の目に映じた。

ふと、本木氏は手元の傘を確認した。

あの居酒屋にもしや忘れてきてはしまいかと、少し不安になり。

 

 

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如何でしたでしょうか...❔💦

『梅雨時』に続いての拙作を最後まで読んで下さった方に、本当に感謝を申し上げます。m(_ _)m 

日本には、北朝鮮は悪いけど韓国は違う  という誤った風潮やマスゴミによる情報操作が一般国民に認識されています。

本当の、真実の歴史というものは、もっと根深いところにあると思うのです。

我が国を攻撃、批判する特亜3国(中国、韓国、北朝鮮)は、言わずもがな悪いですが、それを上回る最も危険な存在とは、日本という由緒正しき国に生をうけながら、真実に向き合おうともせず間違った認識を鵜呑みにしているお花畑日本人  だと僕は切実に思います。

そこのところを、日本人のアイデンティティを認識、取り戻す前提のもと、日本国民は深く考えていかねばならないのではないでしょうか......。

 

今回も終わりまで読んで下さり、ありがとうございました。

 

                                 @2677/ 8/ 1 / 草稿